点心八六のこだわり

点心監修
中華の料理人
小阪英幸先生インタビュー
「ちょっと、やってみましょうか。」そう微笑んでくれたのは、たまたま飲みの席で出会った中華の料理人。その人はなんと、人気料理番組で10年以上も先生役で出演していた中華の料理人「小阪英幸先生」でした。
完全オリジナルの点心開発、どんな思いでお引き受けいただいたのか。そして、今回の点心のこだわりを聞いてみました。
目指したのは、
毎日でも食べたくなる点心。
なぜ点心八六の監修をすることになったのか。
私と薫徳会の出会いは今からちょうど1年前。2024年の4月。奈良県吉野町で開催された「桜の会」です。席のとなりに座ったのが、薫徳会の三田さん。その時に、三田さんから薫徳会として新しい福祉事業所を作り、そこで美味いもんを提供したい、障害のある人もない人も、地域の人も共に生きる街を作りたい、と相談を受けたのがことの始まりです。もちろん、はじめは私が誰だかもわからないから、相談というよりは自己紹介のような感じで話をしていたのですが、三田さんが、どれだけ本気で考え悩んでいるかを目の当たりにして、それならばぜひと、私が中華の料理人で、お手伝いできるかもしれないと話をさせてもらいました。
この私にできることがあればと2日後にメールを送信。
もう引退をしてしまっているのですが、私は辻調理師専門学校で長く中国料理の講師としてたくさんの料理人を育ててきました。また、過去には、テレビ料理番組「上沼恵美子のおしゃべりクッキング」にも出演していました。教えるということにおいて、たくさんの経験があると自負しているので、私ならではのお手伝いができると思いました。とは言え、障害福祉事業所と一緒に商品開発をするのも、一緒に調理をするのもはじめての経験。中国料理については、作ることも教えることもできるのですが、障害のある人にちゃんと教えられるかどうかという不安はありました。
それぞれの特技を
生かしてみんなで作る。
薫徳会で気づいた「みんなで作る」ことの可能性。
障害のある人が点心を作れるのか。そんな不安がある中、三田さんから薫徳会のセントラルキッチンかすがいを見に来てほしいとの連絡を受けました。そこで見た景色は、私の想像をはるかに超える「障害者たちの姿」。私がいつも見てきた調理場があり、食材を丁寧に洗い、包丁を使い一つひとつを手切りする、調理もオーブンや鍋を使い手際良く調理をする姿がありました。食材の計量を測る工程などは、とても正確でプロの料理人にも負けないくらい丁寧なものでした。そして気づいたのが、それら調理作業の一つひとつを、一人ひとりが得意分野として担当。たくさんの職人がリレーをしながら調理することで、みんなで力を合わせれば本格的な料理が作れるということでした。
うまい点心を作る。そのために手作りにこだわる。
焼売にしても餃子にしても、作業を分担すれば、一人ひとりの力が発揮できる。それぞれの工程を分けることで、丁寧に調整することができる。結果、確実に美味しい点心ができると思いました。あとは、レシピ開発です。薫徳会の三田さんとともに、福祉事業所として餃子を作っているところに見学に行ったり、私がおいしいと思うお店で食べてみたり。自分が作ってきたものを再現するのではなく、地域の特性や調理をする人たちの個性を踏まえたレシピを作ることが重要だと考えました。特に、機械に頼るのではなく、包丁を使った手切りの食感や手包みだからこそできる温かみを大事にしました。相談から1年。点心八六として唯一無二の点心と言えるものができたと思っています。
ここでしか食べることの
できない味を目指して。
本場中国の点心。その「贅」を味わえるエビ入り焼売。
点心の中で基本の一品が焼売です。その中でも大事なのは肉の食感。日本の焼売は、中の肉がすり身に近いものが多いと思うのですが、中国では、食材が比較的大きく、中に入っているそれぞれの食材が味わえるような食感を大切にしています。エビは小さな冷凍のむきえびではなく、殻付きのエビを仕入れ、丁寧に殻をむいた上で、豚肉と同様に手切りをしています。豚肉との相性も抜群です。点心八六の焼売も本場中国の焼売のような食材のゴロゴロ感を楽しんでみてください。
手切り野菜の食感とニラの香りの手包み餃子
まずこだわったのは香り。本場の中国料理では香りや食欲を促す食材としてニラを使います。食べた時のパンチはニンニクよりありませんが、ニラを使うことで、爽やかでさっぱりとした、何個でも食べてもらえるような焼き餃子にしました。そのため、油もあまり多く使わないようにしています。また、点心八六は手作りにこだわっていますので、食感も抜群。肉はつなぎの役目とし野菜をたっぷり。餅粉入りの皮を使い、パリッとながらも歯応えを感じてもらえる商品となりました。個性を出しながらも、毎日でも食べられる焼き餃子。どうぞ、ご賞味ください。
小阪英幸
- 元辻調理師専門学校 中国料理研究室
- 香港・台湾で北京・湖南・杭州料理を研修
- 朝日放送
「上沼恵美子のおしゃべりクッキング」
初代レギュラー(1995〜2007)